大学へ進学したら「支払った学費の元はかならず取れ!」という話

大学へ進学を決めている高校生や、大学へ進学するかどうかを迷っている高校生もいると思います。

大学進学を決めている方は「入学したらやりたいこと」がいろいろとあるでしょう。

 

それとは逆に、

「大学へ行って何か得することがあるの?」

「大学へ行く意味があるの?」

と疑問に感じる方もいますよね。

ここでは大学へ進学する目的や知っておいてほしいことを書いていきます。

 

何のために大学へ進学したのか?その理由は?

大学へ進学を決めた理由は人それぞれありますよね。

・興味のある分野の勉強をするため
・スポーツや文化活動をするため
・就職活動のため
・学生生活を満喫したいため
・親にすすめられたから
・特にやりたいことはないけど進学した

などいろいろあります。

 

大学で勉強をして知識や教養を身につけたり、スポーツや文化活動の部活やサークルに参加したり、友達と一緒に遊んだりバイトをするなど、大学生活は本当に自由でいろんなことができます。

高校までは学校や親の目もあってそれほど自由はなかったけど、大学に入って一人暮らしを始めると自由に何でもできる幅が大きく広がります。

 

そのため大学入学後は、あまりに自由すぎて本来の目的を忘れてしまいがちですが…

 

大学へ進学した明確な目的、それは…

 

 

 

就職することです。

これを忘れてはいけません。

 

しかし会社に就職することがすべてではありません。

もっと大きな枠で言えば、大学生の時は「将来はどうやってお金を稼いで生活していくか?」を真剣に考える時でもあるのです。

 

今は自分で会社をつくったり、株やFXや仮想通貨で儲けたり、ユーチューバーになるなど、いろんな生計の立て方があります。

でもそれで生活をしていける人は少ないですよね。

多くの人にとっては「就職活動をして会社に入って、自分の将来設計を考える」ことが一番現実的です。

 

大学へ進学する本当の目的

大学に入学する際に、親や教師などの大人たちは「大学でしっかり勉強してきなさいよ」と言ってくれます。

確かに学生は勉強することが本分ですし、大学で学ぶことで知識や教養が身につきます。

 

しかし大学の4年間(もしくは6年間)で学べることなどは、そんなにたいしたことではありません。

大学の卒業生に対して、社会は即戦力としての期待などよせていないですし、実際に大学で学んだことは一部の学部を除いて社会に出てもほとんど役に立ちません。

 

でも役に立たなくてもいいのです。

大学で学ぶことというのはある意味建前で、それよりも大事なものがあるからです。

 

大学生の時にかならず手に入れたいもの…

大事なものというのは「大学で学んで、あるひとつのキップを手に入れてこい」ということなのです。

 

 

 

それは「大学卒業」という証書です。

 

そのキップを手に入れれば誰でも次の「就職」というステップに進めるからです。

その就職活動も「高卒」とはランクの違う「大卒」という資格で就活ができるのです。

 

日本における大学の役割

そもそも大学は何のためにあるのかご存知ですか?

大学の役割は、教育基本法の第7条にも書かれています。

それを抜粋すると、

第七条 大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。

とあります。

大学の役割は簡単に言うと、「学生の教育」「知の創造」「社会貢献」の3つの柱になります。

もちろん大学はこれらの役割をはたしています。

 

しかし大学も社会からの要望は無視できません。

特に日本において特徴的なのは「大学は待遇の良い会社に就職するための学校」です。

 

「結局、日本の大学って、会社に就職するための予備校みたいなものでしょ」と、と思っている人もいると思います。

仕事の経験やスキルも持っていない学生を一斉に就職させて、安定した生活を送れるようにする今の就職活動のシステムはそれなりに優れていると思います。

それによって社会全体も安定しているのですね。

 

日本の新卒一括採用はもちろん完璧なものではなく欠点もありますが…

「大学卒業後に待遇の良い会社に就職できて、将来はとりあえず安定して生活していけるだろう」と見込んでいるから、親たちは自分の子供を大学へ進学させるのです。

 

大学というのは「大学卒業(大卒)」という資格を手に入れて、大企業などの待遇のいい会社に就職するためにあると思った方がいいのです。

 

大学に支払っている学費はいくらになるの?

突然ですが、大学の学費はどのくらいかかっているか知っていますか?

 

大学に支払っている学費の内訳は、

・入学料(初年度のみ)

・授業料(4年間、医歯系は6年間)

・施設設備費(4年間、医歯系は6年間)

となっています。

 

授業料のほかに施設設備費などの費用も年度ごとに大学へ支払うのですね。

 

下の図は平成28年度(2016年)の学生納付金(学生が大学に支払う学費)です。

区分 入学料 授業料  施設設備費 合計
国立大 282,000 2,143,200 2,425,200
公立大 394,225 2,153,176 2,547,401
私立文系 234,763 3,035,416 628,984 3,899,163
私立理系 256,208 4,286,240 762,260 5,304,708
私立医歯系 1,013,054 17,381,088 5,298,156 23,692,298

文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」「平成28年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額」より

学費の総額は、おおざっぱにいって国公立大学は文系理系ともに4年間で250万円ぐらい。

私立文系は4年間で400万円ぐらい、私立理系は4年間で530万円ぐらい、私立医歯系は6年間で2370万円ぐらいかかるのです。

 

この金額はみなさん知っていましたか?

奨学金を使って大学へ行っている方はよくわかっている方も多いでしょう。

 

実際のところ私も親に学費を出してもらっていたため、4年間でどのくらいの額になるのか大学生の時はくわしく知りませんでした。

私立の文系の大学に行っていましたから「学費も高いんだろうな~」ぐらいの認識しかなかったのです。

「4年間で総額400万円ぐらいかかるんだぞ」と親に言われても、「確かにデカい金額だ」と思うぐらいでそれほど真剣には考えていなかったのです。

 

でも仕方がないのです。

今までに働くといってもバイトぐらいしかしたことがないし、お金にもそんなに困ることもなかった学生にはお金の重みやありがたさなどまだよくわからないのです。

大学の学費は親に頼りきりで、卒業後も親から学費を請求されることもない学生も多いですよね。

 

支払った学費の「元を取る」という発想を持つ

「大卒」という資格を得るためには、「授業に出席して単位を取って卒論を書くなどの卒業の条件を満たすだけ」ではダメなのです。

学生だとそういう感覚ですが…

 

「総額何百万という大金を大学にはらっている」という現実も忘れないようにしないといけません。

 

親が何百万円という高い学費を払って大学へ行かせてくれる理由は…

「将来はその支払った学費分の元を取って、よりお金が稼げるようになってほしい」という期待があるのです。

そうしたうま味がなければ、親も大学へは行かせずに「すぐにはたらけ」というでしょう。

 

親に学費を払ってもらっていると、子供の方は学費の負担の大きさなどわからずに自分の好きなように考え出します。

「大学を卒業さえすれば就活はムリにやらずにフリーターでもいいでしょう」とか。

「大学を卒業したら声優になるために専門学校に通うから」などと言い出します。

 

親からすれば「それじゃ大金を払って大学に行かせた意味がないじゃん!」と思うわけです。

しまいには大卒の資格も生かそうとせず、フリーターや無職のまま、親のすねをかじった生活をしている息子や娘もいるでしょう。

 

それだとやはり親がふびんです。

フリーターは大卒でなくても、高卒や中卒でもなれるのです。

フリーターのように低賃金ですぐにクビになるような不安定な立場では、大学の学費の回収どころか毎月の収入がギリギリで生活するはめになります。

 

大学に数百万円を払って4年間をついやしながらパートやアルバイトの生活をしていたら、「なぜこんなことをしているのか?」と疑問に思った方がいいです。

自分のふところは痛まなくても「大学に支払った学費の元は取る!」というような発想は欲しいところです。

 

大卒の資格は有効に使いましょう

日本の会社は大学を卒業する新卒者を優遇してくれます。

新卒一括採用のため大学生は多くの選択肢の中から入社したい会社を選ぶことができますし、仕事の経験やスキルのない学生をおおぜい採用してくれますし、採用後は新人への教育もおこなってくれます。

 

大学を卒業したときが、待遇の良い会社に行ける絶好のチャンスでもあるのです。

 

もちろんその後に、より待遇の良い会社に行けることもありますが、学校を卒業して社会に出る時がまたとない一番の機会なのです。

大学3、4年の時期に就活しないというのは、このチャンスを放棄しているのですね。

 

もちろん卒業後も既卒として就職活動ができますが、在学中の時よりも就活が厳しくなってきます。

国は「大学卒業後3年以内は新卒として扱うこと」という通達を出していますが、これに対しての企業の対応は様々です。

卒業してから何年もたつと、その分だけ就職は不利になると思った方がいいでしょう。

 

大卒の資格で中途採用の企業にも就職が可能ですが、新卒の時と比べて待遇が落ちる求人も多いです。

 

フリーターや無職のまま、ぐずぐずしているといつの間にか20代後半になり、30代になってしまいます。

今は求人数も多くなっていますので、20代なら未経験でも正社員の仕事を見つけることはできます。

 

しかし給料がそれほど高くなかったり、休日が少ないなどのその他の条件が落ちる求人しか見つからない可能性もあります。

その時にあせらないようにしたいですね。

 

先ほども書きましたが大学時代は「将来はどうやってお金を稼いで生活していくか?」を自分で見つけるためにあるのです。

多くの人にとっては就職活動をすることが一番いい方法です。

新卒の就職活動という絶好の時期を逃さないようにしましょう。

「就活アド」を書いている人

(やまよし おさむ)

東京のとある企業で人事担当の仕事をしております。
このブログは新卒者に向けた情報を提供していきます。
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