新卒の就職活動でよく聞かれる質問のひとつに「学生時代にがんばったことは?」というものがあります。
「『学生時代にがんばったこと…』と言われても大学在学中にアルバイトもやっていないし、サークルやゼミにも参加していないので何も思いつかない」という方もいますよね。
エントリーシート(ES)へ書くときや面接で聞かれたときに、どう回答していいか悩むと思います。
ほかの就活生は部活動の部長やバイトのリーダーや海外への旅行や留学、ボランティアの参加やイベントの開催など、ESに書けそうなネタをたくさん持っているけど自分にはそういうのはない。
他の就活生と比べても「がんばったことのネタで見劣りしてしまって、自分の印象が薄れてしまうのでは?」とか考えてしまいますよね。
そんな方のために、ここでは「学生時代に頑張ったことは?」の回答のつくり方を紹介していきます。
参考にしてください。
部活やバイトやゼミなどはやっていない場合
「学生時代に頑張ったこと」のネタとしてよく使われるのが、
・アルバイト
・ゼミ
・ボランティア
などがあります。
でもこうした活動をまったく行わないで大学生活を送ってきた学生も大勢います。
そういう方の場合は「学生時代に頑張ったこと」をどうやってアピールしたらいいのか?
「学生時代に頑張ったこと」の書き方
「大学に入学してからほとんど家と学校を往復するだけで、学校でも授業を受けること以外特別がんばったことはない」という方もいるでしょう。
ほかにネタにできるようなものはほとんどない。
そういう場合は自分で書けるネタを探すしかありません。
「学生時代に頑張ったことは?」という質問なら、「頑張ったことならなんでもいい」のです。
それを探す方法としては、
まずどんなささいなことでもいいので「大学生活で頑張ったことや苦労したこと」を箇条書きでいくつか書き出してみます。
机に向かって考え込んでもすぐに思い浮かんでこないことが多いので、スマホやメモ帳などを持ち歩いて、その場で思いついたことを書き残してみましょう。
そして箇条書きで書き出した内容を文章にしていきます。
文章の書き方としては、
1.結論(がんばったこと)
2.「いつどこでそれをしたのか?」
3.「なぜそれをしようと思ったのか?」
4.「どのようにそれをしたのか?」
5.「結果として得た成果や学んだこと」
という内容で文章の肉付けをしていきます。
「頑張ったこと」の結論は文の最初に持ってきます。
そのほうが読み手にとってはわかりやすいですからね。
3は「きっかけや動機、理由」を書きます。
4では「頑張ったこと、苦労したこと、困難なこと」→「それをどのように克服したのか?」などで話を進める。
5では「そこから学んだこと」「自分がどう変わったか?」という図式でエピソードを交えて説明していきましょう。
これが基本的な文章の組み立て方です。
具体的なエピソードは必ず入れる
「がんばったことで使えるネタがあれば、この質問は楽勝!」というわけではありません。
「海外を一人で旅してきた」とか「部活の主将を務めた」とか言いやすいネタがあると、それで安心してしまう人もいます。
ほかの人にはないネタを持っていると慢心してしまい、ただ頑張ったことだけを書き連ねたり、自慢話のような書き方になってしまう方もいます。
でもそんな伝え方だと、あまりいい印象は持たれません。
そうならないためにも文章の作り方には気をつけましょう。
例えば、上のやり方に当てはめて「一人旅」に関しての頑張ったことの例文をつくってみると、
「結論(がんばったこと)」→一人旅をしたこと
「いつどこでそれをしたのか」→大学2年生のときの国内旅行
「なぜそれをしようと思ったのか」→自分一人でどこまでできるのか試してみたかった
「どのようにそれをしたのか」→目的地や宿泊先は地元の人に聞きながら自分で決めた
「結果として得た成果や学んだこと」→自分一人で何ができて何ができないのかがわかった
こんな感じです。
一人旅だと簡単にできるのですぐにでも実行できますが、自分の行きたいところに行くだけだと、ただの観光旅行になってしまいます。
旅の目的や方法やゴールを自分なりに決めて考えたほうがいいですね。
資格の取得に関する例文
もうひとつ「簿記2級の資格取得」で例文を簡単につくってみると、
「結論(がんばったこと)」→簿記2級の資格取得
「いつどこでそれをしたのか」→大学1年生のときに簿記の勉強をした
「なぜそれをしようと思ったのか」→簿記に興味があったため資格を取ろうと思った
「どのようにそれをしたのか1」→1回目の試験は不合格になってしまい、対策を考えた
「どのようにそれをしたのか2」→勉強のやり方や取り組み方を変えて励んだところ合格した
「結果として得た成果や学んだこと」→目的を達成するためにやり方や取り組み方を見直すことが大事だとわかった
これを例文として書いてみると、
私が学生時代に頑張ったことは日商簿記2級の資格取得です。私は以前から簿記の勉強をしたいと思っており、大学在学中に簿記2級の資格を取得する目標を立てました。簿記の試験はある程度自信があったものの、最初に受けた簿記1級試験の結果は不合格になってしまいました。このままでは在学中に目標を達成できないと思い2つのことを心掛けました。1つは前のテストの内容をよく振り返り自分の弱点をよく把握して「苦手な分野の克服」に力を入れました。もう1つは「1日3時間は簿記の勉強をする」ことを自分に課しました。毎日3時間の勉強を約半年ほど続けて、結果として2回目の試験で簿記1級の試験に合格しました。
この経験を通じて学んだことは努力すれば目標は達成できるということです。また1日3時間の簿記の勉強を続けることで毎日机に向かって勉強する習慣が身につき、大学の試験でもいい成績が取れました。この時の経験を忘れずに今後、社会人になってからも目標を持って仕事に取り組み、目標を達成するための方法を自分でよく考えながら行動したいです。
上の例は簡単に作った文章なので参考程度にしてください。
もちろん簿記2級以外のほかの資格でもかまいません。
頑張ったことを聞かれるということは結果もそうですが、その過程が重要になってきます。
たとえ結果が良くなかったとしても「そこから何を学んだのか?」を伝えればいいのです。
ただの「何かを成し遂げた」などの自慢話にならないようにしましょう。
「何をしたか?」よりも「どうやったのか?」を説明する
部活やバイトやゼミやボランティアの経験がなくても、よく考えてみればネタは出てきます。
「書くネタがなにも浮かばない」というのは、まだ浅くしか考えていないのですね。
学校生活の中のもっと身近なことでいいと思います。
特に何もなかった学校生活の中でも「ここは頑張らなきゃ!」と思ったときは誰にでもあるものです。
そしてそのときは自分なりにどうするか考えて行動して乗り越えているはずです。
「自分が成長したな」と思うことでもいいので書いてみましょう。
取り組んだことは中途半端なことでもいいのです。
「がんばって取り組んだこと」が1週間とか1ヶ月とか、もしくはそれ以上の時間がかかることでなくてもいいのです。
大学の勉強を頑張ったのなら
学生生活で力を入れたことといえば、真っ先に思いつくのは学業です。
頑張ったことが大学の授業しかないのなら、勉強していく中で「このような発見があった」とか、それでもいいですね。
例えば興味のある専攻科目を深く掘り下げて勉強していったことがあれば、どのように勉強して結果、何を得たとか。
「ある科目のテストはかなり採点が厳しいと聞いたので、そのテストで満点を狙いに行った」とか。
実務学習などの普通の授業とは違う授業で経験したことや、苦労したこと、戸惑ったことをネタにしてみたり。
資格の勉強をしていたら、なぜその試験に興味をもって試験対策のためにどのようことをして、試験勉強をしていく上で何を学んだのかなど。
「大学で勉強をするのは当たり前」とは言われますが、同じ勉強でも自主的に考えて行った行動やそれを通して感じた事、経験した事や工夫したことがあればアピールするポイントになります。
ほかにも
「年間100冊の読書を目標にして実行した」
「体力維持のために〇〇のトレーニングを毎日欠かさずやっていた」
「偶然遭遇した事故・事件に対してとった行動」
「旅行に行って苦労した話」
「趣味の大相撲に関して詳しくなるためにやっていたこと」
など、
一見なんともないような頑張ったことをエピソードを交えて話をして内定をもらった方もいます。
とにかく本人が頑張ったことなら何でもいいのです。
要は「その説明をどのようにするか?」ですから、その点をうまく工夫してみましょう。
この質問の意図はどこにあるのか?
学生のときはテストで「答えのある問題を解く」ことで成績が決まり自分の評価となってきました。
しかし社会に出れば明確な答えが出ないこともたくさんありますし、そもそも「何が問題なのか?」すらわからないこともよくあります。
「何が問題なのか?」を自分で見つけて、それを解決していく力が求められるのですね。
会社に入れば、
「どうすれば自分の業績を上げることができるか?」
「会社の経営が悪くなってきたらどうするか?」
「上司や同僚や部下との人間関係の悩み」
など人によって抱える問題はそれぞれ違いますが、その解決策が求められます。
「頑張ったこと」を聞くのは、苦労や困難や何か問題に出会ったときに「どう考えて対処していくのか?」「その力があるのか?」が知りたいのです。
頑張ることを嫌がる人や苦労や困難から逃げようとする人は会社側も求めていません。
それを見るための質問なのですね。
話を盛っても内定がもらえるのか?
「学生時代に頑張ったこと」は実際に経験したエピソードをまじえて説明していくことになりますが、この時に多少話を盛ってもバレないこともあります。
もちろん面接のときに質問されて答えにつじつまが合わずボロが出てしまうこともあります。
しかし企業の採用担当者は就活生の「頑張ったこと」が本当かどうかをわざわざ調べるようなことはしません。
ほかの仕事も忙しい中で、就活生一人を相手にそんなことをしている暇なんてないのです。
なので実際には嘘の話でも、つじつまの合う回答で採用担当者が納得してくれる話ができればそれでOKともいえます。
言ってしまえば「話の真偽よりも、話の内容が論理的に成り立っているかどうか?」ということなのです。
そこが重要な点だったりするのです。
本当は真実をそのまま話した方が、面接官からの質問に対してもしっかり答えることができるし、後ろめたさも感じないのですが、真実だけではインパクトがないために多少話を盛って自分を売り込む人もいます。
ありえない嘘の話を盛り込むのは卑怯な手ですが、それで内定がもらえるというのはその人の力なのでしょう。
もちろん経歴詐称などはいけませんが、嘘か本当か白黒つきにくいグレーの部分はお互いの駆け引きの領域ともいえます。
話の矛盾点が見えれば容赦なく落とされますが、見えなければその質問は合格で通過したということです。
就職活動は企業の採用担当者と就活生のだましあいという側面もあるのですね。
大学ではなく「高校生活で頑張ったこと」でもいいの?
「学生時代に頑張ったこと」の学生時代は、大学生活以外にも中学や高校などのエピソードもOKということになります。
ただ大学在学中だったら「学生時代=大学生のとき」と考える企業の採用担当者が多いと思います。
高校時代の話をしても間違いではないのですが、面接で「大学生のときのエピソードはないの?」と聞かれる可能性もあります。
そのため大学のときに頑張ったことも一応考えておいた方がいいですね。
また「学業以外に頑張ったこと」という質問をされることもありますので、ネタがない方には厳しいですが、学業以外のことでも何かもうひとつ説明できるようにしておきましょう。
リーダーの経験があったほうがいいのか?
ほかの就活生の話を聞いていると「部活で〇〇の成果を挙げました」とか「バイト先でリーダーをしていました」などの輝かしいエピソードを聞くこともあります。
それを聞いていると「自分よりもほかの就活生のアピールの方がスゴい!」と感じてしまい気持ちが萎縮してしまうかもしれません。
でも自信を持っていきましょう。
学生のときに特別な成果を上げた人やリーダーの経験がある人など、企業活動に通じそうな経験がある人を企業で優遇しているわけではありません。
リーダーの素質がある人ばかりを集めても、ただまとまりが悪くなる場合もあります。
それに本当にリーダーの素質があるかどうかは、その場では判定できませんので、それがすべてではありません。
それよりもいろんなタイプの人間を集めたほうが、結果としては適材適所で組織もうまく回るものです。
ですので社会に出て生かせそうなエピソードだけでなく、自分の人となりが分かるようなエピソードでも十分です。
一見派手に見えるエピソードでも、その説明がよくなければ企業の採用担当者の心には響きません。
逆に何の変哲もないエピソードでも、話のまとめ方次第では相手の心をとらえることができます。
自分で文章を作ってみて何度も中身を吟味しながら、他の人にも添削してもらうなどして自分だけの文章を作ってみましょう。
回答は時間をかけて作りましょう
また文章が作り慣れていないときは、最初からいい文章が書けるわけではありません。
完成させた文章も時間をおいてまた見直して、直せるところは手直ししたり「これじゃダメだな」と思った時は最初からすべて作り直すなど、時間をかけて作ればそれなりにいいものが出来上がります。
就活の時に頻繁に聞かれる質問は特に、中途半端な出来で満足しないで、よく考えて文章を作りこみましょう。
「学生時代に頑張ったこと」などのよく聞かれる質問の回答の質を上げることによって、企業から内定をもらえる確率も確実に上がります。
逆に質の低い回答は企業の採用担当者たちからも見向きされずに、数社受けても不採用が続くなど、徐々に自分を苦しめていくことになります。
そうならないためにも自分で時間をかけてネタを探して、時間がある限り自分でよく考えて文章を作ってみましょう。
在学中に部活やサークル、アルバイト、ゼミ、ボランティアなどでがんばった経験がなくても、企業から内定をもらえる方はたくさんいます。
就活で自分なりのアピールができるように参考にしてみてください。
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