内定後も就活を続けることはできるの?就活生が知っておきたいこと

新卒の就職活動の面接や採用時などに、企業の採用担当者から、

「当社から内々定を出すので、他の企業の内々定はすべて断ってください」

「内定承諾書を提出したのですから、もう就職活動はやめてください」

と伝えてくる企業もあります。

 

内々定(または内定)を出すその代わりに、就職活動は終わりにする様に就活生に圧力をかけること。

こうしたことは世間では「オワハラ(就活終われハラスメント)」といわれて問題にもなっています。

 

就活生が内々定の企業に満足して、就職活動を終了するのなら何も問題はないのですが…

内々定が出た後も「まだ就職活動を続けたい」と考えている就活生にとっては、どうしていいか迷いますよね。

こんな時、就活生はどう対応したらいいのか?

ここではオワハラの現状とその対応の仕方を説明をしていきます。

 

2019年の「オワハラ」の現状

「オワハラ」という言葉は、2015年に新語・流行語大賞にノミネートされたことで話題になりました。

しかし、その後はどうなったのか?

2019年に文部科学省が公表している就職に関する調査よりデータを引用します。

 

「オワハラの相談がある」が32.9%

下の円グラフは全国の大学、短期大学、高等専門学校の合計1,177校が回答したものです。

「学生からオワハラに関する相談を受けたことがありますか?」という質問に対して、

「ある…32.9%」

「ない…62.6%」

という結果でした。

 

出典:文部科学省 2019年度 就職・採用活動に関する調査(大学等)調査結果報告 調査結果報告書(確定版・概要)

2018年は「ある…36.0%」ですので、2019年は多少、減ってはいます。

それでも学校への相談数の割合が32.9%ですので、学校の相談しなかった場合も含めると、実際はもっと多いのかもしれません。

 

オワハラに関する相談内容

2019年度に学校に寄せられたオワハラに関する相談内容としては、以下のようなものがあります。

相談数が多い順に上から並べてみました。

1.内々定の段階で、内定承諾書の提出を求められた…83.2%

2.内々定を出す代わりに他社への就職活動をやめるように強要された…64.0%

3.自由応募であったのに、内々定の段階になって、まだ他社の選考を受けたいにも関わらず、急きょ大学の推薦状を求められた…50.3%

4.辞退を申し出たところ、引き留めるために何度も説明を受けたり、拘束を受けた…20.1%

5.内々定後、懇親会が頻繁に開催され、必ず出席するように求められた…18.1%

6.内々定後、長時間の研修があり、他社の選考が受けられなくなった…8.5%

7.その他…7.1%

 

このようなオワハラの相談があるのですね。

 

内定(内々定)をもらっても就活を続けることはできます

面接で「当社から内々定を出すので就活をやめてください」と言われたり、

内々定の段階で内定承諾書を提出するように言われたり、研修や懇親会が頻繁にあったり、内々定や内定を辞退しても何度も連絡してくる企業もあるようです。

そんな時はどう対処したらいいのか?

 

結論から言うと、企業から何を言われようと、就職活動の期間中は就職活動を続けることができます。

これは応募する側の権利でもあるのですね。

日本国憲法22条1項では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と、職業選択の自由を保障しています。

オワハラで他企業に就職する機会を奪われることになったら、職業選択の自由を侵しているともいえます。

これは企業が決めたことよりも優先されます。

 

「内々定を出すので就活をやめてください」と言われら

企業から

面接官
面接官

内々定を出す代わりに就職活動はやめてください。

と言われることもあります。

これは企業が内々定の辞退者を出さないように就活生を囲い込みたいのですが…

 

就活生に対して指示や強要をしたり、就職活動を終了させる権利は企業にはありません。

就職活動は本人が納得いくまで自由におこなう権利があります。

企業から指示や強要があっても、それに従う必要はないということを知っておきましょう。

 

しかし「就活は今後も続けます」と反論すると、企業の採用担当者も態度を固くしてしまいます。

ですので、もし内々定を確保しておきたい企業なら、

就活生
就活生

内々定ありがとうございます。

と承諾しておきましょう。

 

そして、その企業の内々定を確保しつつ、黙って就職活動を続けましょう。

そのようにしている方も多いと思いますが、就職活動は就活生と企業の双方の駆け引きの場でもあります。

そうしたしたたかさも必要です。

 

ほかの企業を断るように強要されたときの対処法

また

面接官
面接官

当社が内々定を出しますので、他企業には断りの連絡を入れてもらえますか?

と内々定が出ている企業や、選考中の企業に辞退する連絡をするように指示されることもあります。

 

これ自体がおかしな話ですが、この場合、イヤならことわりましょう。

断ればこの企業に入社はできませんが、こうした強引なやり方をする企業は気を付けたほうがいいです。

このような圧力をかけてくる企業は、オワハラだけでなく、入社後もその他のハラスメントで苦労する可能性があると思います。

 

そして企業に対して、内々定が出ている企業名や選考中の企業名などを正直に伝える必要はありません。

もちろん自分の本命の企業名など言う必要もありません。

エントリーシートに記入したり面接で伝える時も、こう言っては何ですが適当でもいいのです。

就活生の選考状況などは企業の採用担当者にバレることはないですし、そこまで調べることもないです。

 

ただ他企業を受けていないと「受けているのはウチの企業だけ?」と怪しまれます。

他企業にもエントリーしていることは伝えましょう。

 

中には、面接の参加中に「この場で他企業に辞退の電話をしてください」というところもあるようです。

そんなときは他企業へ電話をかけるふりをして親や友達に電話をかけて、ことわったふりなどしておきましょう。

自分でことわりの電話を入れるのなら、そうした演技もできますよね。

または志望度の低い企業に辞退する電話をして辞退を伝えるという方法もあります。

 

元々こうしたことを企業から強要されること自体がおかしいのです。

相手の無理強いに、まともに応じる必要もありません。

しかし内々定を確保したいときには、「他企業を辞退しました」と伝えて内々定をもらう対応も必要になってきます。

 

内定承諾書の提出を求められたときの対処法

最終面接の場で内々定を告げられたときや、内々定が決まった後に、内定承諾書の提出を求められることもあります。

「入社するの?しないの?」という判断を急にせまられても決断できないときもありますよね。

そんなときはどうするか?

 

内定承諾書のサインを強要されたときには、辞退するのなら、その場で断りましょう。

内定辞退することを伝えれば、採用担当者もそれ以上は何も言ってこないです。

 

どうしようか迷っている時には、

就活生
就活生

一度、家族とよく話し合いたいので、内定承諾書の提出はしばらく待ってもらえますか?

と採用担当者にことわって、その場でサインせずに、いったん家に持ち帰って考える時間をつくりましょう。

返事は数日後にしてもらうといいですね。

 

内定承諾書にサインしていなければ、その後の内定辞退も簡単にできます。

よく考えた結果、内定辞退をするときは、その旨を電話やメールで伝えましょう。

その場合は下の記事を参考にしてください。

内定辞退するときの採用担当者への電話のしかたやメールの例文
転職活動では企業からの内定を辞退することもあります。しかし「内定を辞退するときにどうやって採用担当者に伝えたらいいのか?」で悩む方もいると思います。ここでは内定を辞退するときの電話やメールでの伝え方を紹介していきます。

 

内定承諾後に就活を続ける場合

その場で内定を承諾するか辞退するかの決断を迫られたときや、早い時期に内定承諾書の提出を求められたときは…

そのときは、いったん内定承諾書にサインをしておきましょう。

あせる男性
就活生

内定承諾書を書いて提出してしまったら、もう入社するしかないのかな…

と思ってしまいますが、そんなことはありません。

 

内定承諾書や入社誓約書などの書類には法的拘束力はありません。

これらの書面にサインをしたり、ハンコを押したをしたあとでも、内定辞退をすることはできます。

とりあえず入社候補の企業として確保しておきます。

そして就職活動を続けて本命の企業への入社が決まったら、内定辞退の連絡をするという方法もあります。

 

中には「内定承諾書にサインした後に内定辞退したら、損害賠償請求をするから!」と脅してくる企業もあるようです。

しかし企業は就活生に対してそのようなことはまずやりません。

むしろ就活生を脅したり心理的な負担をかけるような言動は、脅迫罪として法律に抵触してしまうこともあります。

そうした行為は企業側が不利になりますので、やらないでしょう。

 

しかし内定承諾書にサインした後の内定辞退は、企業の採用担当者から文句を言われることはあります。

入社する意思を示しておきながら、それを反故にするのですから、そのときはしっかりと謝罪しておきましょう。

また「後でいくらでもことわることができるから」と、内定承諾書をむやみに提出するのは思わぬトラブルの元になるのでやめておきましょう。

入社しないとわかっている滑り止めの企業は、内定承諾書を提出する前に辞退しましょう。

 

内定承諾後は企業も入社に向けての準備を始めます。

内定辞退をするときはできるだけ早く辞退の連絡を入れるようにしたいですね。

 

長時間の研修や参加強制の懇親会がある場合

長時間の研修や強制参加の懇親会をひんぱんを開いて、他企業の選考を受けられないようにする企業もあります。

中には泊まり込みなどの長時間の研修を行う企業もあるようですが、このような場合は参加するか迷いますよね。

学校の授業があったり、他企業の選考を受ける予定があるのなら、無理に参加せずに断ることも必要です。

 

本来、学生は学業が本分です。

企業の研修や懇親会のイベントが多くて学業がおろそかになり、卒業できなくなったら困りますよね。

また学生には就労義務はないですし、研修や懇親会は学生生活に支障のない範囲で、参加は任意であるべきだと思います。

そうした学生に配慮できない企業は、就職先として決定する前に、よく考えたほうがいいと思います。

 

また内定後は企業が何度も「食事会」を開催し、焼肉やお寿司などの豪華な料理をごちそうしてくれたり、

あるいは企業の社員がやさしく接してくれたり、心理的に内定辞退をさせない雰囲気づくりをするところもあります。

これも内定者をつなぎとめるためのやり方ですが、就活中にごちそうしてもらい、お世話になったとしてもことわるときはしっかりとことわりましょう。

 

その他の「オワハラ」対策

「内定辞退したら今後はあなたの学校からは採用しないから」といって脅してくる企業もあるようです。

学校からの推薦で内定が決まったのなら影響があるかもしれませんが、一般応募なら内定辞退はできます。

学校に影響がありそうなときは学校の就職課などに相談してください。

 

また内定辞退したときに「一度会社まで謝罪に来い!」という企業もあるようですが、

就活生と企業は雇用関係にないのですから、指示される理由は無いですし、従う必要もありません。

内定辞退は電話やメールで誠意をもって伝えればそれで十分です。

 

内定辞退後に引き留めるための連絡が何度もある場合は学校の就職課などに相談しましょう。

オワハラで悩んでいる時には、各都道府県にある「総合労働相談コーナー」に相談してください。

 

企業にもよりますが、採用担当にも新人の採用人数のノルマがあり、内定辞退者が多いと自身の評価が悪くなるのです。

そのため内定者の囲い込みや、しつこい引きとめなどのオワハラにつながるのかもしれません。

本来なら、選考に参加した学生が今後、企業の顧客になる可能性もありますし、企業の顔になる採用担当者が企業イメージを損なうようなことをすべきではないのです。

特に今は、ネットやSNSで企業の情報が広まりやすいですので、採用担当者は自身の言動にはくれぐれも気をつけたいところです。

 

就職活動を継続するための方法

先ほども説明しましたが、就活生の就職活動を終わらせる権限は企業にはありません。

就職活動を続けるかどうかは本人の自由なのですね。

ただ中には内定先の企業の採用担当者に「今後も就職活動を続けてもいいですか?」と聞いてくる就活生もいます。

 

就職活動を続けることを認めてもらいたい気持ちはわかります。

しかし、そんな質問をされたら企業の採用担当者も面白くはないでしょう。

 

今後も就職活動を続けて、より待遇の良い企業を見つけたら内々定を辞退して、そちらの企業に入社してしまう可能性もあるわけです。

採用担当者としては「どうぞ就活を続けてください!」なんて言えません。

ではどうするか?

 

就職活動を続けることは言わなくていい

内々定をもらった後に就職活動を続けるのなら、誰にも言わずに黙ってやるのです。

内々定または内定を承諾した後も就活を続けることは違法ではありません。

 

在職中の転職活動もそうですが、みんな職場の人には内緒で転職活動をします。

そもそも企業は表立って転職活動を奨励していませんし、企業の人にバレたら社内での自分の立場も悪くなります。

みんなそれを承知で転職活動をしているのですね。

 

それと同じように新卒の就職活動でも内定先の企業には内緒にして、こっそりと就活を継続すればいいのです。

内定先の研修や懇親会や内定式に出席したり、先輩社員と顔合わせしながらも、黙ってほかの企業の面接に行っている方もいます。

罪悪感を感じるかもしれませんが、そのぐらいのことをおこなう気持ちの図太さがあっていいのです。

 

後悔しない就職先を見つけるために

内定承諾しておきながら裏では就職活動を続けて、ほかの企業の面接を受けに行くのは確かに失礼です。

しかし本人にとって就職活動は、大げさに言えば人生がかかっています。

 

入社後に後悔しない就職先を見つけた方がいいのです。

企業から「オワハラ」を受けて嫌々入社したものの、1週間もしないうちに退職してしまう新入社員もいます。

こうなると、就活に時間や労力をかけてきた就活生や、多くの時間やお金もかけてきた企業の双方にとって不幸です。

こうしたすれ違いを少しでもなくすために、企業側は入社を強要するのではなく「内定辞退する人が出るのは仕方がない」という気持ちでのぞんだ方がいいのです。

 

企業から「オワハラ」の圧力もありますが、

結局、就活生が納得いくまで就活を続けて内定先を見つけたほうが、就活生にとっても企業にとっても良い結果になります。

企業側が就活生を囲い込んで入社を強要してもいいことはありません。

 

内定辞退された企業はつらいですが、入社する気がないのなら、早く辞退してもらった方が企業のためにもなるのです。

そのほうが辞退者分の空いた席をすぐに埋めることもできます。

就活生は内定を確保した状態で就活を続けて、もっといい企業から内定が出たら滑り止め企業は辞退したらいいと思います。

 

基本的には「複数の内定が出た中で、当社を選んでくれたらうれしい」という余裕のある態度の企業の方が離職率も低いホワイト企業の可能性があります。

それだけですべて判断はできませんが、あまりにひどいオワハラをする企業は入社するかどうかよく考えた方がいいですね。

 

内定辞退するときは誠意をもって伝える

ただ企業も当社に見合う人材かどうかを真剣に選んで内定者を決めています。

さらに内定が決まった後は、企業もお金をかけて入社への準備を始めます。

 

入社する前に内定辞退されると、これまで準備にかけた時間やお金も無駄になりますし、採用担当者も落胆してしまいます。

ですので軽い気持ちで辞退せず、ことわるときには誠意を持って対応してもらえればと思います。

 

納得がいかないのなら就活を続けるべきです。

「就職活動の時期に、もっと続けておけばよかった…」と、あとで後悔のないようにがんばってください。

最後にこれは私の好きな岡本太郎さんの著書です。

今後の人生の選択で迷ったときに読んでみてください。

以上になりますが、就職活動の際の参考にしてください。

「就活アド」を書いている人

(やまよし おさむ)

東京のとある企業で人事担当の仕事をしております。
このブログは新卒者に向けた情報を提供していきます。

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